【ECB】2022年6月28日 ラガルド総裁 講演内容まとめ

ECB 経済

ECBのラガルド総裁が6月28日に講演を行ったので要点をまとめて紹介します。
そもそもECBのラガルド総裁って誰って思う人もいるかもしれません。

ECBとは、EUの中央銀行の事です。つまり、EUの19カ国の経済政策を担うかなり重要な機関です。
アメリカのFRBと同様に世界経済に大きな影響を及ぼします。
そのECBのトップがラガルド総裁です。
そのため、ラガルド総裁の発言はFRBのパウエル議長のように注目度が高いです。

ざっくり要約

  • 今のヨーロッパはインフレがヤバい
  • エネルギー転換で資源不足
  • ユーロ圏の見通し
  • まとめ

今のヨーロッパはインフレがヤバい

ECBの動き

ECBは、インフレを中期的に2%の目標で安定させることを目指しています。
そのため、最近のインフレに対して今後も様々な手を尽くしてくるでしょう。

コロナショックから続けていた資産買入は今週で終了します。(2022年7月1日で終了)
2022年7月には11年ぶりに政策金利を25bp(0.25%)引き上げる予定です。
そして、2022年9月の政策会合とその後の金利は、インフレの悪化に応じてそれ以上の利上げがあり得る状況です。

複雑な要因がインフレを悪化させている

ユーロ圏のインフレ率は望ましくないほど高く、今後しばらくはその状態が続くと予想されてます。

第一の原因は、世界的なサプライチェーンの混乱と世界的な需要の急増が、価格連鎖に沿った工業製品の価格を急激に押し上げていることです。

世界のエネルギー市場における需給のミスマッチは、ユーロ圏のエネルギー価格の上昇を招いてます。
そして、ロシア・ウクライナ戦争は、この2つの要因を増幅させるとともに、世界の食料価格を上昇させています。
エネルギーに依存するユーロ圏は、これらの衝撃を強く受けています。

エネルギー、食料、工業製品を合わせると、今年に入ってからのインフレ率全体の約80%を占めています。

第二の原因は、パンデミック後の経済再開に伴う内需の回復です。

規制が解除され、消費がモノからサービスへと回転しています。
また、観光やレジャーに対する溜め込んだ需要が予想外に強いことが判明しています。
このような支出の回復を受けて、サービスインフレ率は5月に3.5%に上昇し、1990年代半ば以来の高い上昇率となりました。

これらの衝撃、特にエネルギー価格の高騰は、短期的なインフレを非常に高い水準に押し上げています

また、中期的なインフレ見通しを大幅に上方修正する要因にもなっています。

6月の予測では、インフレ率は予測期間全体にわたって2%を超え、2024年には中期目標をやや上回る水準に収束するとされています。

インフレを持続させる要因

インフレの構成要素の中でサービス部門にインフレが根付き始めています。

また、ユーロ圏の失業率は過去最低水準にあります。

労働力不足は部門を問わず広範囲であり、労働需要の指標は依然として強いです。
転職のチャンスですね。

このような労働市場の引き締めと、高インフレ環境によるキャッチアップ効果が相まって、賃金の伸びが回復することが予測されます。

最新の予測では、賃金上昇率は、2022年と2023年には4%を超え、2024年には3.7%と、パンデミック前の過去平均のほぼ2倍となるそうです。

経済を直撃する供給ショックが長期化する兆しも見えています。
世界的なサプライチェーンの混乱は徐々に解消されると考えるのが妥当ですが、エネルギーと商品に関する見通しは依然不透明です。

エネルギー転換で資源不足

エネルギー価格高がもたらすもの

ロシアとウクライナの戦争はまだ終結しておらず、エネルギー価格の高止まりをもたらす供給削減のリスクは依然として残っています。

また、この戦争は、エネルギー安全保障を強化する手段として、欧州のグリーン転換を加速させる可能性が高いです。
長期的には、これらの動きは欧州のエネルギーコストの低下につながるはずです。
しかし、その一方で、希少な鉱物や金属の価格上昇につながる可能性があります。
クリーンテクノロジーへの投資にかかるコストの上昇や、炭素価格制度の拡大を招く可能性もあります。

ユーロ圏の見通し

ピークは過ぎた

原材料高の中、企業は値上げによって利幅を確保しようとしていますが、このような不透明な見通しの影響で企業の投資判断を遅らせています。
また、業績予想も2020年10月以来の低い水準になってます。

労働所得の上昇の抑制

パンデミック時に過剰貯蓄がされており、インフレ率が賃金の伸びより大きく上回り続ければ、実質所得の損失が拡大し、その結果需要に打撃を与え、労働所得の上昇を抑制する可能性があります。

金利正常化への道筋と対策

ECBはユーロ圏の不完全な通貨統合の中で金融政策を実施しており、政策は各国のソブリン債の市場を通じて伝播させていきます。
そのため、一部の国のソブリン債が信用リスクによって金利差が生まれてしまうのを防ぐ事が政策をうまく進めるために重要です。
パンデミック時に購入した債権が償還された後、一部の信用リスクの高い国のソブリン債に投資できるように柔軟性を持たせて対策を取れるようにしておくそうです。
そうすることで金利差のゆがみが出たときにECBが資金投入して対策できるようにするそうです。

ソブリン債が分からない方はこちらをチェック
【解説】ソブリン債とは

まとめ

世界中でインフレの問題が大きな問題になっていますね。今後は世界中でインフレと金利上げが加速しそうです。
すでにピークを過ぎていることからここから不景気のターンも始まりそうです。

また、エネルギーが高いのであれば、急速に脱化石エネルギーの動きが加速しそうです。
脱化石エネルギーが進むと電動化がさらに進みますので、クリーン発電に必要な資源、電池に必要な資源をチェックしたほうがよさそうですね。
具体的にそれらを生産している国、企業はどこかをチェックしましょう。

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