香港ドルって、どんな通貨か知ってますか?
- 何でドルって名前につくのか分かんない
- 香港って中央銀行無いけど誰が発行してるの?
- アメリカから圧力をかけて香港ドルを紙クズにできるの?
とか疑問があると思います。
今回はこの疑問に対してお答えします。
香港ドルは、実は普通の通貨とは仕組みが異なります。
それでは解説に進みます。
香港ドルって何?
香港ドルの仕組み
誰が発行するの?
実は、香港に中央銀行ってものは無いです。
香港ドルを発行できるのは下記の通りです。
- 香港政府(コイン、小額紙幣のみ)
- HSBC
- 中国銀行
- スタンダード・チャータード銀行
じつは、いろんな銀行が発行しています。
このような状態でどうやって価値を担保しているのでしょうか?
紙幣発行のルールは?
香港ドルをこれらの発行体がバンバン作ったらどうなるでしょうか?
お金としての信頼が無くなり、価値を失います。
なので、お金の価値を担保するためにルールがあります。
このルールを『カレンシーボード制』と言います。
カレンシーボード制とは、自国通貨を完全に他の通貨の価値に裏付けるルールです。
香港の場合は、香港ドルを完全にアメリカドルに裏付けるということをしております。
どうやって裏付けるのでしょうか?
実はこのようにして裏付けられています。
- 発券銀行は1アメリカドルを香港金融管理局に預ける
- 金融管理局から1アメリカドル預けるごとに7.8香港ドルを発行する権利を得る
- 金融管理局に7.8香港ドルを支払うと、1アメリカドルを返却してもらえる
- 金融管理局に支払われた香港ドルは消滅する
つまり、香港ドルと、アメリカドルは完全にリンクしているのです。
昔あった金本位制みたいな仕組みですね。
香港ドルの値動き
1ドルを7.8香港ドルに交換できるのは上記の銀行だけであり、一般人は相場で取引するしかありません。
そのため、取引によって多少交換レートが上下しますが、大きくは変動しません。
時には大きく変動することもあるかもしれませんがやがて交換レートは戻っていくようにできております。
それはなぜでしょうか。
香港ドルは相場調整のために金利を活用しております。
たとえば、香港ドルの方が買われすぎて高くなってしまった場合、香港ドル建ての金利をアメリカドル建てよりも下げます。
そうすると本来アメリカドルと香港ドルの価値の比率は同じため、ドルの方を買おうとする人が増えます。
その方がより金利が得られるからです。
次に逆の場合を考えます。
香港ドルが売られすぎて安くなってしまった場合、香港ドル建ての金利をアメリカドル建てよりも上げます。
そうすると、香港ドルを買って金利をもらった方が有利なため香港ドルを買おうとする人が増えます。
こうやって自動的に香港ドルとアメリカドルの価値の比率は7.8に収れんするように調整されています。
カレンシーボード制の副作用
カレンシーボード制は通貨が安定する代わりに大きな副作用を受け入れざるを得ません。
それは何でしょうか?
まず、完全にドルにリンクしていることから
- アメリカの中央銀行の政策金利の影響をもろに受ける
- 好景気の時に金融緩和されるとバブルになる
- 不景気の時に金融引き締めをすると恐慌になる
つまり、他国の金利政策をもろに受けてしまう事が最大のデメリットです。
香港ドルは通貨の安定性を得る代わりにこのような政策金利による調整が出来なくなるというデメリットを受け入れているのです。
アメリカから圧力をかけて香港ドルを紙クズにできるの?
アメリカドルと、香港ドルの関係を先ほど示しましたが、ここにアメリカ政府が介入する余地はあったでしょうか?
ただ単にドルと香港ドルを固定で交換しているだけなので、ここには紙くずにするほどの介入をする余地はありません。
可能性としては、香港ドルの発行銀行がドルを手に入れれない状態にしてしまうという事をアメリカがすれば話が変わってきます。
そうすると交換するドルが足りなくなり、香港ドルを発行できなくなってしまうでしょう。
その場合は、中国元などのほかの通貨で代用することにはなりそうですが、どちらにしろ代用通貨の価値が担保されていれば紙くずにならないでしょう。
まとめ
今回は、特殊な通貨である香港ドルについて紹介を致しました。
結論としてはドルと香港ドルはほぼ同じものととらえて良いでしょう。
ポイントとしては銀行が金融管理局に1ドルを預ければ7.8香港ドルを発行できるという事を覚えておいてください。
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